地方銀行におけるM&Aファイナンスを目的とした融資・支援制度の実務レベルは頼れるものなのか?

M&Aの普及が進むにつれて、「街のM&A」(譲渡対価が数百万円〜3,000万円規模の小規模な案件)の件数も増えてきています。弊社が拠点を置く茨城県においても、相談の件数が徐々に増えてきています。
 
その様な地方でのM&A案件の場合、支援専門家として存在感を示してくるのは地方銀行の存在です。当記事では、地方銀行におけるM&A支援の注力具合、地銀職員さんのM&A知識レベル、銀行さんとのM&A支援の付き合い方、などをご紹介していきたいと思います。

 


~目次~

1.座学には非常に力を入れている

2.実務経験は少ない

3.職員間での知識差があるため、情報の伝達がうまくいっていない

4.まとめ


 

1.座学には非常に力を入れている

これは間違いありません。M&A最大手である日本M&Aセンターさんなどと連携し、行内に専門部署の立ち上げ、勉強会の実施など、精力的に動いている様です。「M&Aシニアエキスパート」や「事業承継エキスパート」など、M&Aに関する民間資格を取得している担当者の方も多く見受けられます。

元々優秀な方が多いこともあり、難しい用語の意味、M&A交渉の流れ、など理論的な方法などを把握されている方は多いと思いました。

 

2.実務経験は少ない

地方銀行の方は、M&Aに関する座学経験は豊富である一方、実務経験はまだまだ少ないと思います。先日お会いした担当者の方は、専門部署があるにはあるものの、実際に最後まで案件を取りまとめた経験はないとの事でした。現時点での専門部署の所属人数は4〜5人、との事です。

実務ベース・実態ベースで実際の案件のやりとりをしたところ、なかなかお話が通じない部分がありました。しかし、座学ベースの話に落とし込むと理解してくださる、その様な状況です。

現在関与している案件ベースでは、買い手候補様の資金調達(株式取得代金の融資をお願いしています)についてやり取りさせて頂いておりますが、行内での確認作業となることが多く、なかなかスムーズにことが進まない、審査が進まない、その様な状況かと思います。

 

3.職員間での知識差があるため、情報の伝達がうまくいっていない

事業を買収したい、会社を買収したい、そんな買い手候補様が銀行に相談に行く場合、まずお話をするのは当該買い手企業様の担当者様となります。

各銀行のM&A支援部隊はどこかに拠点があるケースが多いので、各支店にM&A担当者が常駐しているわけではありません。それ故、

買い手候補者が取引のある支店の担当者に相談する
→銀行担当者が本部のM&A専門部隊の人間に相談する
→M&A専門部署の方が買い手候補様の元へ面談に来る

この様な流れで交渉が進んでいきます。するとどんな事が起きるかというと、銀行担当者が本部のM&A専門部隊の人間に相談するこのタイミングで誤った情報が専門部署に伝わってしまう事が多い様です。支店の担当者の方に説明した内容と、専門部署の方と面談の際に持っている情報との間には大きな相違があるのです。

 

4.まとめ

いかがでしたでしょうか?

上記は弊社がやり取りしたことのあるいくつかの銀行さんの例のため、他の銀行さんも同じとは限りません。もっともっと実務をバリバリこなしている銀行さんもあるかもしれません。

しかし、茨城県内の担当者ベースで考えると、上記のような状態が現状であると思います。今後は支店の担当者ベースのところまでM&Aに関する知見が降りてくるものと思われますが、その時期はまだまだ先のように思います(来年中頃くらいでしょうか)。

銀行さんが提供しているM&Aサービスだから安心だ、と言う考えを持つことは現時点では得策ではないと思います。「安心できて信頼してるから銀行さんに支援をお願いしたい」と言うことであれば、プラスアルファで支援実績のある民間のM&A支援機関のセカンドオピニオンを入れる、などの形態がおすすめではないでしょうか。

 

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