「株式譲渡」と「事業譲渡」のM&Aはどう違う?飲食店を例に解説します

中小企業、特に街の零細企業で行われるM&Aの手法のほとんどは株式譲渡事業譲渡、と言われています。世の中にはそれらの違いを説明したブログや書籍が多数ありますが、ちょっと難しくてよく分からない、完全初心者向けではないな、と思うものばかりです。

当記事では、飲食店を営む会社の例を参考に、かみくだいてわかりやすく両手法の違いを解説していきます。

飲食店オーナーの悩みとして、「ラーメン屋は良い感じなんだけどカレー屋は全然ダメなんだよな」「東京でやってるラーメン屋は良いんだけど、茨城のラーメン屋はダメなんだよな」などの悩みがあるかと思います。

そんな時、これまでは閉店する、という方法しかなかったかもしれません。ところが最近では、やめようと思っている店舗を第三者に売却することが可能なのです。これをM&Aと呼ぶのですが、このM&Aという手法が街の中でも活発に行われるようになってきました。

そんな街のM&Aですが、その方法には大きく分けて2つの方法があります。株式譲渡という方法と、事業譲渡という方法です。簡単にいうと、会社丸ごと譲渡するのか、会社の一部の事業だけを譲渡するのか、の違いです。それぞれどんなものか、カレー屋さんとラーメン屋さんを営んでいる飲食会社を例に、特徴やメリット・デメリットなどを説明していきたいと思います。

 


〜目次〜


 1.株式譲渡

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株式譲渡の特徴を図解で示すと上記のようになります。カレー屋もラーメン屋も、会社ごとまとめて「飲食好男」に譲る方法が、株式譲渡となります。譲渡代金は「株式会社飲食店」の株主個人の手元に入ります(株式会社飲食店には入りません)。

メリット

・保健所の検査や飲食店の営業許可証など、飲食店開業の新たな手続きが不要

・従業員との雇用契約も、そっくりそのまま引き継げる

・カレー屋、ラーメン屋、それぞれテナントオーナーとの賃貸借契約もそのまま引き継げる(新たに敷金や礼金、仲介手数料などを支払う必要なし)

 

デメリット

・会社を丸ごと引き継ぐことになるので、いらないもの(借入金など)も引き継がなければならない
→飲食好男のリスクは大きい

・ラーメン屋だけやりたくても、カレー屋も引き継がなければならない

 

※諸々のリスクを引き継いでしまう可能性があるが、問題点を炙り出した上でリスクヘッジすることが可能であればオススメ

 

        2.事業譲渡

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一方で事業譲渡の特徴は上図の様になります。カレー屋は継続して「株式会社飲食店」が営業を続けますが、ラーメン屋だけ「飲食好男」に譲る方法が事業譲渡となります。譲渡金額は「株式会社飲食店」に入ります。

メリット

・欲しいラーメン屋だけ引き継げる(カレー屋は引き継がなくてすむ)

・「飲食好男」的にはリスク少なく事業を始めることができる

 

デメリット

・「飲食好男」として、新たに保健所の検査を受けたり飲食店の営業許可証を取らなければならない

・「飲食好男」として、従業員と改めて雇用契約を結ぶ必要がある

・「飲食好男」として、ラーメン屋テナントのオーナーと改めて賃貸借契約を結ぶ必要がある(新契約と同じなので、敷金や礼金、仲介手数料が発生する可能性もある)

 

※諸々の手続きは面倒ですが、滞りなく手続きを敢行できるのであればリスクなく継承できるためオススメ

3.まとめ

いかがでしたでしょうか?会社名は残したい、ラーメン屋だけは続けたい、従業員と改めて雇用契約を結びたい、などなど、時と場合に応じてどちらの方法を選ぶのか検討する必要があるのです。

当初の予定では事業譲渡で進めようと思っていたものの、交渉の途中で株式譲渡に切り替えざるを得ない状況が出てくることなどもございます(許認可が引き継げない場合など)。

交渉を難航させる要因が出てきた場合には、譲渡方法を再検討するなどして、別の方法で交渉を進められないか検討するのも一手ではないでしょうか。

 

この他にもLifeHackブログではM&Aについて紹介しています。合わせてお読み下さい!

M&Aとは?これからM&Aに関わりたいすべての人に向けその基本を紹介

 


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