M&A交渉の最終段階で行われる調印式では何を行うの?

M&Aの交渉が進んでいき、晴れて最終契約の締結となると、「調印式」(成約式と呼んだりする事もあります)と呼ばれる儀式を行うことになります。
 
では調印式とはどの様なことをするのでしょうか?
どんな方が参加するのでしょうか?
どんな場所で実施されるのでしょうか?
 
当記事では、そんな疑問に答えるべく、調印式について概要や流れを紹介していきたいと思います。

~目次~

1.どこで開催されるの?

2.参加者って誰なの?

3.調印式ってどんな流れで進むの?

4.一番の魅せ場はどこ?


1.どこで開催されるの?

M&Aの成立を祝して執り行われる調印式ですが、一体どこで行われる事が多いのでしょうか?

A社をB社に譲渡する、そんなM&Aが成立した場合、A社事務所で実施するのかな?そう考える方が多いかと思います(A社の社長室だったり応接室だったり、会議室だったり)。

ところが実際は、A社事務所で実施することはほとんどありません。なぜならば、譲渡契約を締結するタイミングでは、A社の従業員は譲渡の事実を知らないことが多いからです。そんなタイミングでA社で仰々しい契約締結手続きを進めようものなら、何事だ!?と驚きや不安に感じる方が出てきてしまいます。実務上は、契約締結後に改めて機会を設け、従業員への説明(譲渡を実行した旨、今後はB社が運営主体になる旨、など)を実施するまではオフレコの状態でM&A交渉は進んでいくのです。

では、調印式はどこで行われることが多いのでしょうか?これまで立ち会ったことのある例をご紹介すると、
・ホテルの会議室
・貸し会議室
・銀行の応接室
・買い手企業のオフィス

などでしょうか。
銀行応接室での開催というのは、契約同日に譲渡代金の支払いや債権債務の整理を行う必要があるなど、資金移動が発生するケースに使用するイメージです。着金の確認もすぐに出来ますので、銀行での実施は個人的におすすめだと思います。

中には仰々しく行うことを嫌い、事務的なやり取りのみで完了してしまうこともあります。非常にレアなケースとしては、ファミレスの一角で実施したこともありました。

会議室の写真

 

2.参加者って誰なの?

ではどんな方が参加するのでしょうか?

A社をB社に譲渡する、そんなケースであれば、

・A社の社長
・B社の社長
・A社のM&Aアドバイザー
・B社のM&Aアドバイザー
・士業の先生方

などが参加するケースが多いです。

士業の先生方が参加するのは、契約同日に各種手続きを同時に実施することが多く、A社の社長、B社の社長、対象案件の流れをよく知るM&Aアドバイザーが同席しているタイミングで、各種手続きを進めることを可能にします。

場合によっては対象企業の社長のご家族の方などが参加するケースもございますが、あまりこの様なケースに立ち会ったことはないです。

調印式の様子

 

3.調印式ってどんな流れで進むの?

調印式当日の流れですが、式の進行を務めるのは当該案件を進めてきたM&Aアドバイザーであることが多いです。売り手、買い手、それぞれにアドバイザーがいる場合はどちらかのアドバイザーが司会を務め、もう片方のアドバイザーがフォローする、そのような流れとなります。

式次第としては、以下の流れが一般的でしょうか。

  • 開式の挨拶
  • 契約内容の確認、調印(契約書の読み合わせや契約書への押印の作業)
  • 重要物の確認、引き渡し(会社実印や銀行印、銀行通帳、キャッシュカード、法人クレジットカードなどの引き渡し)
  • 譲渡代金の支払い、着金確認(譲渡代金がしっかり振り込まれているか、の確認)
  • 登記書類、手続きの確認(代表者変更手続きの実施、手続きに必要な書類の確認、押印など)
  • 各社長からの挨拶(売り手、買い手、それぞれの社長からの挨拶)
  • 写真撮影(売り手、買い手、それぞれの社長のツーショット撮影)
  • 閉式の挨拶

ほとんどの工程が、驚くほど単調に進んでまいります。ミス(印鑑の押し間違いや漏れなど)があってはなりませんので、一つ一つ確認しながら、慎重に進んでいきます。

時間としては、全部で30分〜1時間前後になります。式の空気感としては、閉式の挨拶が完了するまでは緊迫とした空気感で進み、閉式の挨拶完了後にようやく砕けた会話が行える様になる、そんなイメージです。

 

4.一番の魅せ場はどこ?

上記で紹介した式次第の通り、後半までは淡々と進んでいく調印式ですが、ガラッと空気が変わる瞬間があります。それが、売り手・買い手それぞれの社長からの挨拶のタイミングです。特に売り手の社長の挨拶は心が震えます。

これまで手塩にかけて育ててきた会社を、従業員を、取引先を、買い手である社長に委ねることになるわけですので、「娘を嫁に出す親父」のような、そんな空気感が漂います。中には感極まって涙する、そんな社長様がたも結構多いです。

そんな売り手社長の想いに応えるべく、買い手社長も熱い想いを返す場面となるため、もう涙ほろほろものです。M&Aアドバイザーとしても、成約に至るまでの苦労を思い出しながら、感無量の瞬間となります。

この達成感は何ものにも代え難く、またこんな場面に立ち合いたい、M&Aアドバイザーとしての仕事をしていて良かった、そんな想いが強くなる瞬間です。

感動して泣いている様子

テレビや映画の世界以外で、こんなに心が動く瞬間に立ち会える機会はないと思います。自分が調印式の場に立ち会うとしたら、

・自分の会社を譲渡する
・第三者の会社を譲り受ける
・M&Aアドバイザーになる

この3択になるかと思います。会社を譲渡する、譲り受ける、というのはなかなか難しいですが、M&Aアドバイザーになることは誰でも可能かと思います。

弊社では、上記感動体験を味わいたい方を探しています。
M&Aアドバイザーとしての仕事に興味のある方、ぜひ弊社までご連絡頂ければと思います

 

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